クリニック 名古屋ちくさヒルズ

理事長ブログ 名古屋クリニック

2019年の歌

人溢れ皇居と神社で祈念する 令和元年元旦迎う
番組は1日皇室シリーズで 大型連休釘付けになる
雨の中儀式に臨む天皇の 面持ち硬くさわやかな感
元号がうつろいゆく日に京都にて 御所を歩きて何ものか思う
令和来る皐月の声を聞くときに 風呂に入りてテレビに見入る

船の音湾を行き交う養殖の 静かな海に小波広がる
目が覚めて窓を開けると鳥の声 古代の森を眺め思わん
賢島海のまにまに養殖の 筏点々静けさの中

アルプスのあなたに臨む富士山は雪の名残をわずかに残す
新緑の森深く犬と分け入れり数多の鳥の声響き渡る
厳重な警備の東京回避して八ヶ岳

白濁の湯気の向こうに雨かすむ 梅雨の箱根にウグイスの声
ゆったりとショパンのピアノ聴きながら 身支度をする六月の朝

六月の夜を彩るストロベリームーン 金星とともに写真を撮らん
雲間から怪しく光るストロベリームーン 赤く輝く空のまにまに

六月の暑さは正に真夏並み 昼の散歩を犬は嫌がる
夜がふけて木の葉がそよぐ風の中 愛犬たちは 散歩に出かける

いつの日か花を咲かせむ 胡蝶蘭 その日を夢み枝を切るらむ

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

入院(後編)

今回の入院は、頭の後ろにできた脂肪のかたまりを切除するためである。同級生の主治医とは、局所麻酔で行う約束である。

手術の時間がやってきて、看護師さんが病室へやってきた。歩いて手術室に入った。手術室の入り口で、担当の手術室看護師さんにバトンタッチ。第一手術室に入った。外科医2人、研修医2人、手術室看護師さん2人(うち一人は、機械出しである)、と局所麻酔の手術にしては、大勢のスタッフである。このような小さな手術に、大勢のスタッフが付いてくれるのは、申し訳ない感じがする。

入室後、点滴ルート確保、モニター接着、手術デザインマーキング、などの儀式を経て、30分後にいよいよ開始となった。後は、1時間も経たないうちに手術終了。ドレーンバッグ挿入、タイオーバー、縫合となった。今後は、順調にいけば、翌日ドレーン抜去、翌週月曜タイオーバー除去、翌週土曜日抜糸である。

切除した腫瘍を見せてもらった。ピラミッドを押しつぶしたような形で、5cm大である。

奥さんにも実感してもらうため、腫瘍を手袋をつけて触ってもらった。「こんなフォアグラをあたまに入れてーーー」という感想であった。

手術室から歩いて病室へ戻るのか、と思っていたら、車いすのお迎えがきた。わざわざ病棟の看護師さんが車いすを押してくださった。こんな仕事は、看護師さんのすることではないのに、と思ったが、仕方がない。

病室に戻ると急にお腹がすいてきた。余っていたドーナツ2個とオレンジジュースを流し込み、一息ついたのであった。

明日は、午前中に退院である。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

入院(前編)

昨日とある病院に入院した。先回のブログでもお話ししたが、頭の後ろにできた脂肪のかたまりの手術のためである。入院した病院は、いわゆる大病院である。私は、日帰り手術を想定していたが、病院の方針で、2泊3日となったのである。

というわけで、昨日の午後入院した。入院したといっても、病棟で病室に案内され、わずかな荷物を入れた、だけで外出許可をもらい、仕事へ戻ったわけである。

まずい病院食を断り、夕食は自宅で食べることにした。奥さんが気を利かし、お風呂の用意もしてくれた。こうして消灯前に、病院に戻って、ひとり病室で眠ったわけである。

いつもは、愛犬2頭とベッドをシェアしているが、この日は、ベッドをひとりで占領できたわけで、グッスリと眠ったのである。

朝、看護師さんが、検温に来て、その後朝食。地下のコンビニで、買出しをし、食後のコーヒーを楽しむ。朝食後、絶飲食と言われていたが、コーヒーとドーナッツを朝食のデザートにしてしまった。

この病室は、12階にあり、窓からの景色は最高である。ちょうど外来患者が、車やタクシーで玄関先に到着している。地下鉄の駅が、病院地下に直結しており、病院スタッフなどは地下のコンビニ前を通り過ぎていく。

看護師さんが手術開始時間を知らせに入ってきた。手術着ももっている。外科医の手術着とは異なり、浴衣のようなものである。

こうして、手術室に行くまで病室で待機するのである。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

人工衛星ネットワークを作る

大学で人工衛星を研究する先生と討論した。目的は、グローバルヘルスケア財団で、遠隔医療通信のプロジェクトを立ち上げるためである。

この先生は、田舎の中小企業と組んで、10cm四方の小型人工衛星を打ち上げているのである。

最近、はやぶさ2が、リュウグウに着陸した、話題がマスコミで喧伝されている。このリュウグウは、球形ではなく、立方形なのである。そして、よくある小型人工衛星も立方形のようである。

人工衛星は、気象その他の目的で、実用化されているが、現在宇宙空間は、国、民間問わず、過当競争である。中でも、宇宙ネットワークの構築競争は、熾烈の様で、殆どの著名な企業は、さまざまなネットワーク構築プロジェクトに投資しているようである。

私にとって、非常に遠い世界であったは、上記の討論によって、問題点が整理され、参入ポイントがかなり明らかとなった。

まず、ネットワーク構築には、1000個以上の衛星を打ち上げる必要がある(spaceXは、4000個を目標としている。次に、衛星寿命と電波品質は、打ち上げる高度に依存し、地上100キロ単位で、電波品質は劣化するとともに、衛星寿命は伸びる。現時点の最大の問題は、最適な高度200キロ前後で、衛星寿命が数ヶ月しかないことである。この衛星寿命の問題に対し、ーーーエンジンを搭載する開発が進んでいる。

まとめると衛星寿命を延ばす工夫をした人工衛星を地上200キロ地点に1000個以上打ち上げることができたなら、我々が必要とする医療宇宙ネットワーク構築が可能である。

なぜこのようなことに執着するかというと、我々の開発する手術支援ロボットを用いて、ヨーロッパー日本で遠隔手術実験をやった時、どうしてもタイムラグが2-3秒あり、手術に支障があった、経験があるからである。この経験から、地上通信は、緊急性を要する医療に適しない、と結論し、宇宙通信の可能性を探索していたのである。

小型人工衛星が大学や民間でも可能となり、やっと長年の思いをプロジェクトに具現化する時がきた次第である。

プロジェクトは、「人工衛星による医療通信ネットワークの構築」、当面の開発は、衛星寿命延長技術とAI医療通信、とする予定である。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

字は、心の波動である

このように考えたのは、かの弘法大師空海と言われている。

弘法大師空海は、書の達人であった。

遣唐使船に乗って、留学生として長安(当時の中国の都)に暮らしていたので、あちらの最先端の文化文明を吸収できたのであろう。しかし、字の下手な私から見ると、字の下手な人が、急に字が上手に書けるようになるとは思えないので、やはりその才能があったと考えるのが、妥当である。とにかく向こうの教養人にとって必須である書なるものを会得したようである。

字が上手い人は結構たくさん存在するものである。しかし、自分の書へのスタンスを、上記のような言葉で表現したとなると、これは芸術を通り越えて、真実(真理)と直結しているような感じがして、興味を惹かれるのである。

人は、自分の心の状態、ひいては脳の状態を、客観的に分析することは、なんからの分析装置を用いない限り困難であろう。いやMRIやfMRI などの分析装置でもむづかしいかもしれない。この困難な客観的データ表現を、彼は書を通して可能にした、と考えると、これは最古で最高の自己精神分析方法なのでは、と考えてしまう。

つまり、彼には脳と心が、腕と手を通して、筆にアクセスしており、自由に操れるという感じである。なんだか、オーケストラの指揮者のタクトのようでもある。

そう考えると、逆に筆の動きによって、脳と心の制御が可能であるのかもしれない。

彼は、脳と心の制御という目的で書への発出技術を使っていたと考えれば、妄想がどんどん膨らんでいく。例えば、手と足、さらにロボットアームも用いて、上記のプロセスで書を書き上げると、どのような表出になるのか?その表出の際の脳内神経回路はどのように構築されるのか?などなど、誠に興味が惹かれるのである。

というのは、私は現在、手術支援ロボット ダビンチに変わる特殊な手術ロボットハンドを大学と共同で開発しているからである。このロボットハンドは、6ー8本を自在に操り、オペを行うことが目標で、開発されているのである。8面観音像がモデルである。このロボットで革命的にオペ時間を短縮し、患者様の負担を少なくしたいというのが理由である。

私にとって、空海の書への表出メカニズムは、新しい手術ロボットの開発と直結するのである。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

自由診療を保険でやりたい

日本で「保険を使う」というと、一般的には公的保険のことであろう。

日本はありがたいことに、国民皆保険制度の国であり、ほとんどの病気では、保険診療というものを受けることができる。

最近話題の超高額がん治療であっても、一旦保険適応となれば、月10万程度の支払いで受けることができるのである。このシステムは、誠に見事なものであり、海外からも賞賛される、日本が誇るべき医療システムの一つである。

しかし、急激な超高齢化社会に突入するにあたり、公的医療財政が限度を超えるのではないか、と考えられおり、この問題解決は喫緊の課題である。

私もそうであるが、公的保険の他に、多かれ少なかれ民間保険というものに、皆さんお入りになっていると思う。

例えば、何かの病気で手術を受けると、公的保険が適応される場合、まずは病院の窓口で自己負担分の支払いを行う。そして、加入している民間保険会社に申請して、さらに決められた額の支払いがされてくる、というものである。民間保険会にとっては、主要な保険支払いは、公費からであるので、支払いメニューの作成には、高度な技術を必要としない。民間保険先進国である米国とは大きな違いである。

クリニックちくさヒルズは、自由診療メニューが豊富であるので、患者様にとって、自由診療に適応される民間保険がないものか、と調べてみたが、結局、高度先進医療に限ってのみ、とかいう限定付きのものばかりで、自由診療カバーの民間保険は日本にはないことが判明した。クリニックちくさヒルズが行う、再生医療や、がん免疫療法は、今後ますます発展すると考えられるし、新しい優れた自由診療が今後出現するかもしれない。

公的医療財政が逼迫していることを考えると、国民に自由診療を安心して選択してもらえる、選択肢を増やす努力は、医療に関わる医療機関、保険会社には、当然のことと考えている。

では、米国ではどうかというと、米国は、FDAが認可した医療であっても、基本的には自由診療のようなものであり、民間保険会社が医療費の支払いをカバーする。ただし、保険会社によって、有効性が証明されない患者様(正確には治療を行った医療機関)には、保険料が支払われないようになっているそうである。つまり、有効性がない治療を行う医療機関には、保険会社からの支払いがない、つまり病院は損をする仕組みになっているそうである。

この仕組みをうまく使えば、日本でも自由診療保険なるものをスタートさせることが可能であろう。問題は、有効性の基準を誰が担保するか、ということである。

この有効性の基準作成は、有識者会議で行い、NPOや財団のような第三者機関が有効性の評価を担当する、というシステムがよろしいのではないか、と推察する。

自由診療に保険が使えるようになれば、多くの人が自由診療を選択することができるし、また提供する医療機関は、有効性の評価を得られなければ、保険料の支払いが得られないので、いい加減な自由診療を行うことはできなくなる。

自由診療であっても、有効な治療には、民間保険でカバーする。日本の公的医療保険をできるだけ長く存続させるためには、必ず検討すべき課題と考えている。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

孤高のメス

これは、wowowドラマのタイトルである。主人公は、肝臓移植で有名なスターツル教授がおられる、ピッツバーグ大学で肝臓移植を習得した、優秀な外科医である。スターツル教授から、スタッフになるよう言われたが、断って琵琶湖湖畔の小さな総合病院に勤務、という設定である。もう一人の外科医は、これも肝臓移植で有名な、英国ケンブリッジ大学のロイカーン教授のところでスタッフをやっていたが帰国、琵琶湖近くの大学病院に准教授として迎えられた人物である。

スターツル先生、ロイカーン先生、ともに私はよく知っている。というのも、私は、ピッツバーグ大学のスターツル先生のところに2年ほど留学していたからである。私が留学した当時、ピッツバーグ大学では年間700例ほどの肝臓移植が行われていた。ロイカーン先生が発見したシクロスポリンという免疫抑制剤が一般的に普及し、良い成績が出だした頃である。

そして、次世代の免疫抑制剤としてプログラフの臨床試験が、ピッツバーグ大学を中心に始まっていた。そのほかにも、さまざまな臨床試験が行われていた。例えば、小腸移植、肝臓小腸同時移植、多臓器移植、などなど次々に行われていた、

実はピッツバーグ大学は、肝臓移植以外にも、遺伝子治療でも有名であり、がん免疫遺伝子治療が行われていた。

ロイカーン先生は、スターツル先生と一緒に肝臓移植をやっていた岩月舜三郎教授(大学の先輩でもある)のところで、時々お会いし、面識があった。ただし私がお会いするのは、テニスのお相手をするためである。

このドラマの主人公は誰がモデルかわからないが、ピッツバーグ大学で肝臓移植をきわめて、日本に帰国されたとなると、藤堂省先生しかいないであろう。というのは、先生は、向こうでゴッドハンドと言われていたからである。私は、向こうにいる時、よく先生の家で、ご飯をご馳走になったものである。先生の奥様は、本当に料理がお上手であったのである。

このような個人的な背景があるので、ドラマとはいえ、懐かしい気分になった。

しかしスターツル教授、岩月教授はすでにお亡くなりになっている。私と関係があった方々が、なくなっていくのは、私の貴重な思い出が消えていくようで、どうにも寂しいものであるが、このドラマによって、昔のことを思い出すきっかけになったことは、非常に嬉しく思った次第である。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

異形の木

テレビで樹齢1000年にもなる木の話をやっていた。遠くから見ると、なんとも言えず美しい容貌だそうである。しかし近くによると、その形相は一変する。いわゆる異形なのである。そういえば、太古の森というところは、神秘的な面持ちであるとともに、なんとも言えずおどろおどろしい気をたたえるものである。

私は、蓼科の別荘に愛犬を連れて、たまたま出かけるが、その折決まって訪れるのが、「御柱の道」というハイキングコースである。

名前の通り、諏訪大社の「御柱の祭り」の折に、使われるあの御柱を切り出して運び出す道、だそうである。この道の途中に、御柱を切り出した幹が其処彼処に認められる。

この辺りの空気感が大好きで、いつもボーとして過ごすのが過ごし方である。

この辺りの木々も樹齢何百年というものが集まっており、場所によっては異形と感じられるのである。

樹齢1000年ということは、1000年前には種か苗の状態であったはずである。この1000年間の成長データを今の状態から逆に推測していけば、1000年で種か苗になるはずである。このようなデータをビッグデータとしてAIで解析すると、種から1000年後の状態が推測できるはずである。

このような物語は、narrative storyと言われている。人の歴史を綴るというようなものである。もしも木のストーリーが、種から1000年後の状態を予測できるとするなら人も生まれた時からの一生を予測できるかもしれない。

生き物の今の姿は、生まれた時まで遡ることができ、また逆に今の姿から死ぬ時まで辿ることができる。このようなAI narrative sceinceなるものの概要を考えるきっかけになった「異形の木」であった。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

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