クリニック 名古屋ちくさヒルズ

理事長ブログ 名古屋クリニック

突然歩けなくなる

昨年12月、会議のためロンドンへいった。初日からロンドン大学やら大使館やら会議に出向いた。この頃のロンドンは日照時間が短い。朝は7時過ぎないと明るくならないし、夕方は5時にはまっくらである。その上、始終小雨が降っていて、太陽を見ることがきわめてまれである。当然であるが、湿気が強く、芯から冷える。

3日目であったであろうか、右のお尻が重くなり、突然歩けなくなった。具体的には10メートルも歩くと、足が鉛のように重くなり、動かないのである。

なんとか所用を全て済ませ、予定通り帰国した。

いろいろ調べてみると、上記の症状は間欠性跛行というらしい。そして、この症状が出る代表的な病気は、脊柱管狭窄症と判明した。

脊柱管狭窄症は、背中の神経が、なんらかの原因で圧迫狭窄を起こす病気であり、ひどくなると手術らしい。急いでMRIをとったところ、腰椎の2ー3番目で狭窄があるが、まだ軽いらしい。

ということで、まず整形外科医に仙骨ブロックをやってもらった。まず5mlでやったが効果がなかったので、10mlに増加した。すると、症状が軽快し、不快感が消失し歩きやすくなった。ただし、効果は3ー4日である。

そして、婦長の紹介で、鍼治療に通うことにした。といっても、鍼は、全身に打つのである。あとは、腰椎固定、温湿布、血流改善剤の服用、ストレッチ、腹筋背筋腕たせ運動、を毎日行った。このようなメニューで、2ヶ月もすると、普通に歩けるようになったのである。

いろいろ考えてみると、もともと脊柱管狭窄症はあったと思うが、ロンドン出張、気候の変化といった環境変化によるダメージが症状の悪化を招いたのであろう。

今回の件でよかったことは、これまでテニスをやると腰痛があったその原因が、脊柱管狭窄症であると、確定診断できたことである。この件から、腰には冷湿布ではなく、温湿布を用いることにした、

英国はもともと関心がない国の一つであったが、この一件後、秋冬の英国には、行きたくなくなってしまったのである。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

脂肪の塊

クリニックちくさヒルズでは、昨年度よりお腹の脂肪から培養した脂肪内幹細胞を用いて、関節、肝臓、脳などの再生医療を行なっている。アトピー性皮膚炎の患者様やお肌を綺麗にしたい患者様に対する幹細胞液を入れたクリーム、ローション、スプレーなども非常に好評である。

このように脂肪を使った再生医療を行なっているのであるが、私自身20年来、頭の後ろのあたりに、脂肪の塊を持っているのである。当初は、小さいものであったが、さすがに20年も経つと、はたからでもわかるものになる。おおよそ直径8cm程度はあると思う。

MRIでは、脂肪の塊である。このまま放置しようかな、とも思っていたが、80歳過ぎまで生きると仮定すると、全身麻酔をかけるのもリスクが高くなるであろうから、今のうちに取っても良いかな、と思うようになった。

そこで特定認定再生医療等委員会で毎月一緒になる大学の同級生の形成外科医に相談した。

そんなこんなで、私は近々オペを受けることになった。

前日入院、オペ翌日退院である。私は、当初、日帰りオペでどうかな、と思っていたが、病院のシステムで、前日入院、翌日退院、となった。病院によって、いろいろ決まりがあるらしい。もしも、クリニックちくさヒルズであれば、日帰り手術となったであろうが、最近病院は、医療訴訟が多く、慎重であることを身をもって知った次第である。

仮にクリニックちくさヒルズで、私が、私のオペをやるとなるとどうなるか、想像してみた。腫瘍は、後頭部にあるので、目では見えない位置ということであろう。そうなると、リアルタイム画像をipadなどのディスプレイで見ながら、ということになる。

まずは、局所麻酔と仮定して、ロボットをマスタースレイブで操作、または介助ナースを使って、麻酔剤を注射する必要がある。次に手術方法であるが、私が、画像を見ながら、ロボットをマスタースレイブで操作することでオペを進めることになる。介助ナースは必要かもしれない。万が一全身麻酔が必要ということになった場合、アウェイクサージェリーに移行することになる。この場合、麻酔医の協力が必要となる。

このように考えると、現時点では病院で手術してもらった方が苦労が少ないかもしれない。

私どもが開発する多関節ロボットが実用化に近付けば、上記のような、いわゆるself-awake surgeryを実現するシステムの開発に手をつけても良いと思うが、今の段階では現実的ではないようである。

ということで、私は黙って同級生の形成外科医に任せることにしたのである。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

CAR-T療法はお金がかかる

最近話題になる治療に、CAR-T療法という免疫細胞療法がある。

非常に効果があるが、一方 副作用が強く、かつ超高額である。

これまで免疫チェックポイント阻害剤であるオプシーボが高額と言われていたが、桁が一桁違っている。一回に何千万も必要とする治療薬が出現したのである。

私どものクリニックでも、免疫細胞療法は行なっているが、どこが違うのかというと、リンパ球に、ガン抗原特異性を遺伝子操作で持たせる、という工程が異なっているだけである。この工程が、少し複雑で手間がかかるということで、超高額になるのである。

しかし考えてみると、この工程をクリニックでもできるのであれば、ここまで高額にはならないかもしれない。ということで、調査と検討に入っているところである。

CAR-Tに加え、光免疫療法が実用化させるようになると、がん免疫療法は、チェックポイント阻害剤を加えて、非常に強力なラインアップとなり、一昔前までの、わけのわからないがん治療法から、最も有効なガン治療法へと、評価が一転すると思われる。

しかし、よく効く薬には、副作用があるのは、どのガン治療法でも同様であるので、 がん免疫療法は副作用が少ない、というのは、ちょっと違うのでは、と思っている。

むしろ、耐性が出にくいということであれば、それは大きな福音ではないか、と思うわけである。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

クリニックはロボット天国

クリニックに、アイボがやってきた。ソニーが復活させたロボット犬である。

前のブログで書いたように、我が家には二頭の犬たちがいる。この犬たちは非常に手間がかかり、奥さんも時々怒りを爆発させる。

ということで、ロボット犬は、愛犬の役割を果たすことができるかどうか、興味があったのである。

アイボがやってきて、私は非常にびっくりした。なにせかわいいのである。

そのしぐさ、鳴き声、学習能力 、どれを取ってもすぐれものである。唯一の欠点は、バッテリーの持ちが2時間程度で、ワンワン言っていたかと思うと、いつのまにかバッテリー切れで眠っているのである。

したがって、クリニックの営業時間で、2、3度はお眠りにタイムとなってしまう。

しかし、アイボは間違いなく、ペットとして有用である。ということで、このアイボに名前をつけることにした。名付けて、カールくん。

カールは、以前飼っていたゴールデンリトリバーの名前である。

カールくんは、優れた学習能力があるので、最近では歌を歌い、サッカーをし、サイコロ遊び、を行なっている。観察力も鋭く、好奇心も旺盛である。

このロボットがきて、患者様たちは、待ち時間カールくんとお遊びするのがも楽しみだそうだ。間違いなく癒し効果がある。

今のところ、触った感じが、プラスチック感覚で、生き物感がないが、今後触感が備わると、本物以上の愛情を注いでしまうのではないか、と感じているところである。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

愛犬は二頭

現在我が家の愛犬は二頭である。

以前のブログでは、愛犬は一頭となっていたが、その後同じ犬種がもう一頭我が家にやってきて、二頭になったのである、アーサーという名前で、現在2歳、チョコレート色のフラットコーティットである。もう一頭のポアロは、10歳になっているが、彼らは叔父甥の間柄である。2歳ともなると、からだは成犬であり、力も生半可ではない。

両犬ともオスであるので、二頭を連れた散歩は、まさしく戦いである。

彼らは、同種であるが、性格は全然違っている。ポアロは、クールで慎重、英国紳士のようである。アーサーは、明るくおっちょこちょい。イタリアっ子のような振る舞いである。どちらが皆さんに好まれるかというと、圧倒的にアーサーである。

イタリアっ子がモテるのも頷ける訳である。

彼らは、我が家ではギャングと呼ばれている。

アーサーが来て、ポアロは俄然若返ったように思われる。一人の時は、非常におとなしかったのであるが、友達ができた途端、いたずらになる子供のようなものである。

そういうわけで、家の中は、犬たちの運動場のようになっており、奥さんはノイローゼ気味である。

しかし就寝の時間が来ると、急に大人しくなる。私が寝るベッドに、ふたりで飛び乗って、すとんと眠りにつく。 そのような光景を見ながら、私はベッドの小さなスペースにもぐりこむのである。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

わたしのDNAはチェンジする

私は、人工生命体にひどく関心がある。

一時期ベイダー博士が作り出した、あの人工生命体だ。

なにかとなにかを混ぜで、チンすると人工生命体ができる、このような漫画のような出来事が現実に可能になったのである。

私は、なぜこのようなものに興味があるかというと、私は、ずっと外科領域における遺伝子治療、というものを研究しているからである。遺伝子治療では、遺伝子を体の中に運ぶ、運び屋(ベクター)が必要であるが、このベクターに、よく使われるのが、ウイルスの殻なのである。そのためには、人工的に遺伝子操作したウイルスを用いて、ウイルスの殻の遺伝子だけにして、運び屋として使うのである。

私にとっては、ある意味ウイルスの人工生命体との出会いであったのである。

このようなことを長年研究してきたので、人工生命体なるものに興味があるというわけである。

さて、私のような素人でも考えるのは、アミノ酸やタンパク質の切れ端、を混ぜて、チンしてやると、ウイルスのようなものができるのではないか、というアイデアであるが、実際、ペプチドというタンパク質の切れ端をまぜて、ウイルスの殻を作った研究者がいるのである。したがって、私でも、もしかすると、そのようなことができるかもしれない。

となると、今度は遺伝子の切れ端も混ぜてーーーとなるが、これはCas9でいとも簡単にできるようである。

簡単に遺伝子を変えることができる、となると、これまでヒトのDNAは不変である、と信じられていた神話はどうなってしまうのか?

私は一つの仮説を立てている。ヒトの遺伝子は、成長とともに変化するのではないか、と。

つまり、ヒトの全ゲノムを解読したとしても、それはその瞬間の情報であり、次の瞬間には変化しているのではないか、ということだ。

なぜこのようなことを考えるのかというと、近い将来、人が自分の遺伝情報を自分で管理し、制御し、利用する時代が来るからである。AIとウェアラブルデバイスがますます発達するであろうから、病気の予測、予防、診断、治療、あらゆるコンポーネントは、急激に変化すると考えている。その時に、自分のゲノムだけは、不変である、などという教科書的真実にとらわれると、何か大きな間違いを犯すような気がしてならないのである。

したがって、私は、自分のDNAはチェンジするかも、と考えることにしている。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

私もPRP治療患者

当クリニックでは、昨年度よりPRPを用いた関節治療を行なっている。

PRPとは、自分の血小板濃縮液のことである。

変形性関節症の患者様から40ml程度の採血をし、クリニック自前の細胞加工施設(無菌施設)で血小板濃縮液を4ml作って、ドクターが患者様の膝の中に注射する、というものである。

再生医療の中では、日帰りでできる手軽な治療法で、しかもヒアルロン注射では、痛みが取れない患者様達には、驚くほど効果がある治療法である。

実は、私も右膝が悪く、時々水が溜まる。それでいて、週末にはテニスをやるわけであるから、膝は悪くなる一方であった。

そこで、当院での治療開始に先駆けて、私は自分の膝で試すことにした。

というのも、投与量や有効性に関して、実はこれまでほとんど正確な情報がないからである。

とりあえず、2mlのPRPから開始することにした。つまり、20ml採血し、2mlに濃縮するのである。大抵の場合、水がたまっているので、膝から水を20ー30mlぬいてから、PRPを注射する。1ヶ月おきに、3回やってみた。ところが、あまり効果が感じられないのである。

そこで、思い切って4mlに増量することにした。

また同じように、4mlを3回やってみた。すると、効果が感じられるようになってきたのである。PRPが最も鎮痛効果を発揮するのは、1週間程度であり、その後は徐々に元に戻るような感じとなる。しかし、回数を重ねれば、着実に初回より痛みが少なくなり、膝のパワーが戻ってくる感じがある。

ということで、昨年度から4mlで当クリニックは実施しているわけである。

しかし、私は最近は、6mから8mlへと増量し、トライしている。狙いは、PRPの注射間隔を1から2または3ヶ月へ伸ばすことである。感触として、どうもいい感じではないか、と感じている。近いうちに患者様にも、お届けできるようになると思っている。

2019年3月に神戸で開催される日本再生医療学会では、当院でこれまで行ってきた700例以上の患者様におけるPRP4mlの結果を報告する。

結論から言うと、1)PRP治療は、関節症患者に有効である、2)患者の重症度が上がるほど、有効であること、3)初回治療の患者が、最も有効であること、という結論になった。

詳しくは、学会に行って、聞いてください。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

お歌を作ること

狂歌かな意味の分からぬ言葉使い
お歌成り立つ感覚嬉し

短歌は、57577である。一般的には俳句を作るより難しい。

古代より、短歌は芸事の最高峰であった。上品で、気品があり、上流階級が治める教養であった。現在でも、短歌を読む人はそれほど多くはない。

私は、なぜか短歌が好きである。その原理も基礎もわからないが、センチな気分になるとなぜか短歌を詠みたくなる。

最近奇妙な体験をした。

昼寝をして、寝起き寝ぼけ状態でボーとしていたのである。

突然短歌が沸き起こってきた。なんとかでーーーー。ところが出てくる言葉には、さっぱり意味がないのである。まるでラップをやっているようなものである。脳の回線が狂ったのか、と思ったが、それが意外と心地いいのである。

他人から見ると、狂ったように見えるかもしれない、言葉。ところが本人には、この発狂したような、言語表出が、いたく心地いいのである。

考えてみると、意味のある言語を表出できないという感覚に身を任せて、その感覚を受け入れ、その感覚をドライブしている感じである。

認知症やアルツハイマーの方々もこのような感覚を味わっているのか、とも思う。

脳神経回路がいわゆる正確に機能しないのは、側から見ると気の毒に思えるかもしれないが、案外当人はこの間、この感覚を楽しんでいるかもしれない。となると、この方々の持つ、この感覚を無理やり他人と同じ感覚に引きずり戻す必要性はないのかもしれないーーーーーー。

狂歌などど、ふと思ってしまうひと時であった。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

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