クリニック 名古屋ちくさヒルズ

理事長ブログ 名古屋クリニック


最近私のテニス仲間では、本の出版が流行っている。
その先駆けは、工学部出身の、とある先生が、自作川柳本を出版したことである。この本は、書きためた日本語の川柳を、英訳し、両記した点が特筆すべき特徴である。先生は、多くの英語の先生に、川柳の英訳(添削を含めて)を手伝ってもらったそうだが、私の奥さんもその1人である。
私も一冊サイン入れの本をもらって少し読んでみた。先生のオチの効いた川柳は、日頃当人から聞かされているので、新鮮な驚きはなかったが、きっちりまとめあげ、書として公開した執念は、素晴らしいものと感じていた。
ところが、この前例に感化されたのか、その後続々とテニス仲間が続くことになったのである。ごく最近では、花の写真本を解説付きで出された先生(女性)が、たまたまコートで私に一冊プレゼントしてくれた。表装に、花の写真をあしらった、可愛らしい本である。
これまでに色々な場所で撮りためた花の写真を整理して、紀行文をつけて、製本したようである。私もコロナになってからアーサーを連れて山に行くことが多くなった。大抵、安曇野、八ヶ岳、蓼科、である。その中に、私たちがお気に入りのコースがいくつかあり、ゆっくりと歩くのである。別荘からそれほど遠くない場所を選ぶことにしている。5-6月は、花の季節であり、さまざまな花が咲いている。私は全く花を知らないので、写真を撮ったり、花に付属する説明を読んだりして、一応残すことにしているのである。私のような、花を知らないものでも、写真を撮ってーーーー、と考えるわけであるから、前記の先生のように、花の鑑賞眼を持った人は、花からさまざまな記憶や、考えが浮かぶのかな、と思いつつ、本を手に取った次第である。
コロナの時代、本を読む人が増えているという。パンデミック社会では、普通の生活に回帰したくなるものであるが、その回帰儀礼として有効な手段が、本を読むことである。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

コロナと税金

コロナ感染拡大で、ヒトの動きが停止となり、予想されたことであるが、経済活動が消滅した。医療機関は、コロナ患者への対応に追われるようになり、一般の患者の姿が見られなくなった。ほとんどすべての医療機関は収入が激減した。このような現象は、当然他の業種でも同様で、すべての経営者が現状の打開に苦しんでおられると思う。
国は各種交付金や融資制度で、経済活動を支援するように、施策を打ち出すが、どうも税金だけは別のようである。どこの家庭、企業も、住民税、法人税、消費税を支払うが、ちょうど3ー6月にどっとこれらの書類が届いた。医療機関では、診療で患者様からいただいた治療費に対する消費税をまとめて支払う必要があり、その請求が国から来たのである。
税金は、国の重要な収益であることは当然わかっているが、この時期に連続して支払い請求書を送ってくるのは、どう考えても無神経である。
コロナ対策は、経産省、厚労省が中心にやっているので、財務省は無関係と言っているようなものである。このようなコロナ対応にも、省庁縦割り意識をひしひしと感じるのである。
本来、コロナパンデミックのような有事には、迅速に的確な政策を実行できる、コンパクトな仕組みがよろしいのではないかと思うが、どうも今の行政システムでは期待できそうもない感じがする。しかしせめてコロナ対策チームに財務省も入れて、つまり税金対策も含めて話し合ってもらいたいものである。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

防災ドローンシステムは、人命を救う

昨日からの集中豪雨は、各地で大きな傷痕を残している。
報道によると、過去に私たちが経験したことのないような豪雨であり、いつどこで洪水があるか予測できないらしい。九州では、すでに数十人の方々が亡くなっており、このままでは100人を超える死者が出ると考えられる。テレビやラジオを聴いていると、アナウンサーが近隣の住民に緊急避難をひっきりなしに呼びかけている。最近災害時によくある事象である。気象庁は、気象衛星を使って、出来るだけリアルタイムの気象情報を収集し、提供してくれていると思うのであるが、報道で今現在私が見聞きしている情報は、災害発生間近の方々も同じように見聞きしているのだと思うと何か違和感を感じるのである。
つまり、私のように当事者ではない人間と同レベルのマクロ情報しか、災害発生間近の地域の方々が得ることができないとすれば、この高度技術時代の日本が情けなく思うのである。
私は、災害発生予想地域は、気象衛星などで予想できるが、実際洪水がおこったときには、濁流が今現在どの地点でどの状態なのか、秒単位の情報がないと、生命は守ることができないと考えている。とすれば、災害発生予想地域での情報収集手段をさらにレベルアップし、住民に届けるシステムが存在すれば、今回失われた人命の多くは救われるのではないかと思う。私の提案であるが、こういうときにこそ、飛躍的に発展したドローンを使うと良いと思う。たとえば、災害予測地域を半径1キロ以内と想定して、バッテリー寿命3時間のドローン100機を継続的に局地観測用に飛ばし、ドローン観測システムを構築、この情報を地域住民の携帯にリアルタイムに発信できれば、「住民が不幸にも逃げ遅れる」という悲しい事象は防ぐことができるのではないか、と考える。「逃げ遅れる」というのは、言い換えれば「情報提供手段が未熟な社会」で生じる事象であり、公共の防災システムの問題である。
ドローンは、現状登録制になり、ビジネス用途での開発がどんどん進んでいるが、防災にこそドローン技術を積極的に応用すべきと考えている。
私どもの一般財団法人グローバルヘルスケア財団は、「健康医療防災を目的とした超小型人工衛星ネットワークの構築」を目指して、開発を行なっているが、今回のような局地防災において、地上の情報を極めて詳細にかつクリアにキャッチするには、局地ドローンとのドッキングネットワークが重要ではないかと考える。とはいえ、災害地域で死ぬか生きるかの方々にとっては、鮮明な洪水画像よりもタイムラグのない洪水画像の方が有用であると思われるので、私どもの超小型人工衛星ネットワーク完成を待たずに、政府には是非とも防災ドローンシステムの構築を早急に検討していただきたいと思う。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

建築は命と健康を守るということ

拍動建築物(Pulsatile Archtecture)

医療が、命と健康を守るのは、当然のことである。
ポストコロナ社会では、非接触医療、が一つのキーワードになると思うが、その場合、ウェアラブルデバイスは、重要な研究開発テーマであると考えられている。
ウェアラブルといえば、アップルウォッチなどの時計を想像するが、日頃私たちが身につける下着や靴、メガネなども対象である。また在宅を想定すれば、アレクサのようなデバイス、家庭にある様々なデバイスや器具が対象となるであろうし、車内を想定すれば、ハンドル、シート、なども対象となるであろう。このように考えると、建築物も、ウェアラブルデバイスの役割を果たしても当然と考えられるのである。
私は、拍動建築物(Pulsatile Archtecture: 私の創作です)なるものに大きな関心がある。本来建築物は、無機的なものであり、家として仕事場として公共空間として、利用される。同時に文化遺産として、社会人文学的に有意義なものとして、時代、国境を超えて、人々に愛される。
私が考える拍動建築物とは、どのようなものとなるのかは想像していないが、私たちの命が、心臓の拍動に象徴されるように、建築物にも自律的拍動とみなされる現象があり、その状態が、建築物の健康状態や精神状態を表すとともに、私たちの命や健康と同期するというのであれば、興味ある事象である。
このように、無機物と有機物との境界が曖昧になり、無有一体空間が表出される町を新しく創出することが我々のグローバルヘルスの目的なのである。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

人文学は心(精神)の揺らぎ?

グローバル社会は、科学技術と経済が重視されている。大学でも、理系の学部は、必要であるが、文系の学部は必要ないのでは、という意見もある。
確かに文系の学部で役に立ちそうなのは、政治経済学部ぐらいであり、文学部などは何の役にも立たない感じがする。しかし、「文学は実学である」という作家がいる。文学に触れることで、精神的な栄養となり、生きる指針が示されるのであれば、それは間違いなく有益な実学なのであろう。
実は、今回のコロナウイルス感染症で、全世界で最も注目されたのは、カミュの著書「ペスト」らしい。この著書は、アルジェリアのとある街で発生したペストの顛末について記載したフィクションつまり小説で、ノーベル賞受賞作となった有名なものである。この小説では、町のロックダウンや感染者の差別など、今回のコロナと全く同じ現象を記述しており、予言書ではないか、と言われているのである。
文学は、人文科学(The humanities)に包括される学問分野であるが、これまで、科学技術や経済で一辺倒であったグローバル社会は、コロナショッキングで、人文科学に傾倒する社会へと、変貌したわけである。
ある意味、正常な社会に戻ったというか近づいたのであるが、この現象は、ポストコロナでの「いわゆる非接触社会」でも続くであろうか?非接触社会システムとなると、さらに人と人との関わりは希薄になるであろうので、人間性の制御は、これまで以上に困難になるかもしれない。
このような新社会システムが、具体的にどのような形へ向かうのかは想像でしかないが、文学を始めとする人文科学の重要性を啓蒙教育し、人類が人文科学と共存する社会を実現する国と地域が、新社会システムの中でも、持続する繁栄を享受できるようになるのでは、と推察するのである。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

アルツハイマー新薬の問題

アルツハイマーの新薬が出た。アムジェンが以前より開発を進めていた薬である。実は、私どもの先端医療推進機構 知見審査委員会で数年前に案件審査を行った事案である。

その際、海外で多くの副作用報告が出された薬であり、委員会でも議論が沸騰した記憶がある。その薬が、今現在日本で承認されたのである。

この薬で大丈夫か、と思っていたが、案の定マスコミでも話題がたくさん出てきて、議論となっている。アルツハイマーが、ベータアミロイドの神経細胞への沈着で細胞死が生じ、認知機能を含めた様々な臨床症状が出ることが知られている。微小脳梗塞でも、類似する症状を呈するが、なかなか改善が難しいことは知られている。

日本のめ。かーも様々な薬を出しているが、どれもこれも大した効果はないようで、今回の薬に対する期待は大きかったわけである。 脳を対象とする薬は、多かれ少なかれ副作用として神経症状が認められる。例えば、癲癇み対する薬は、三叉神経痛にも保険適応となっているが、多かれ少なかれ見当識障害のような神経症状が生じる。

コロナウイルスも鬱など様々な神経症状を生じることが報告されており、興味ある病態ではあるが、副作用というのは、ある程度仕方がないとして、許容できないほどの副作用でなければ、よろしいのではないかと考える。

その意味では、今回の新薬が果たしてどのような評価を受けるのか、興味深いところではある。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

ワクチン準備をする

ワクチンがクリニックに届いた。ファイザー製であるので、ディープフリーザーでの冷凍保存である。一箱約1200回分であるので、600人分となる。

6月末からワクチン開始と定め、受付担当を中心としてプロジェクトチームを作る。

ワクチン接種の際は、受付、問診、注射、確認、という4ブースに分かれて患者さんを誘導する。導線が重ならないように、一方向へ回すのが望ましい。ここのクリニックは、100平米程度の広さしかないので、空間を効率的に利用するように、チームで話し合い決定する。ご存知のように、ファイザー製は、RNAワクチンで、解凍後6時間程度が限度である、急なキャンセルの場合が、大きな問題であり、必ずバックアップの患者さんを用意しないと、ワクチンを捨てることになる。ワクチン開始日が決まったので、患者予約のために、さまざまなルートで広報する。なお、ワクチン接種による副作用、特にアナフィラキシーショックに備え、各種薬剤、心停止呼吸停止に備えた器材準備とシミュレーションを入念にスタッフで行ったのである。このようにして、万全なワクチン準備を行なった。

私どもの通常クリニック業務に支障がないよう、1時間18名、1時間準備、を1クールとし、週10クールを基本として予定した。

私どものクリニックは、中庭噴水に面しており、景観は非常によく、噴水に向かって、椅子を配置した次第である。

あとは患者さんにトラブルなくワクチン接種が進められるかであるが、また今後報告を行うことにする。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

コロナ後の世界

新型コロナウイルスは、まだ収束というわけにはいかないが、そろそろ経済活動が戻りつつあるような感じがある。多くの企業決算は、赤字のようだし(補助金助成金狙いのところも多いであろうが)、医療を含め、様々な業種でとんでもない状況である。
しかし、どこの企業も生きていかなければならないので、なんとかしようと知恵を絞っているようである。しかし、コロナが今後も続くとなると、これまでと同じでよいとわけにはいかない。あらゆる業種で、オンラインやノータッチワークが常識となるであろうから、ますますバーチャル技術が進むと考えられる。そして、現実と非現実の違いがあいまいな社会が比較的早く到来するのではないか?
つまり、現実では、空間にゆとりがあるが、非現実では、密な接触が行われるといった感じである。非現実を利用して、実際の生産行動が行われるのである。例えば、工場で働く場合、労働者は、一人一人別々の空間で共同作業をするが、現実は工場でロボットなどが物作りをするという具合である。
つまり5G、衛星通信ネットワーク、AIロボティクスが加速度的に発展し、このようなバーチャル社会を支えるのである。
バーチャル社会は、効率的でありで、低コストで高い生産活動が可能と思うが、ヒトがヒトとしてどのように生きるか、という人間の尊厳との両立をこのような社会で行うのは、結構難しくなるかもしれない。

クリニック ちくさヒルズ 院長
林 衆治

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