自然免疫の守護者・NK細胞とは?~ウイルスやがんから体を守る「自己防衛力」~
2025/08/05
私たちの体には、病原体やがん細胞と日々戦う“免疫”という防御システムがあります。その中でも、最前線で活躍するのが「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」です。最近では、感染症予防やがん免疫に関する話題でこの言葉を耳にする機会も増えてきました。今回は、この頼もしい細胞についてわかりやすくご紹介します。

目次
NK細胞とは?
NK細胞は「ナチュラルキラー(Natural Killer)」の略で、生まれつき殺傷能力をもつ免疫細胞の一種です。
血液中やリンパ節、脾臓などに存在し、体内で異常な細胞(ウイルス感染細胞やがん細胞など)を見つけると、即座に攻撃して排除します。
他の免疫細胞と違って抗体や過去の感染記憶を必要とせず、単独で迅速に行動できるのが大きな特徴です。
そのため、自然免疫の中核として、体の“第一防衛ライン”を担っています。

NK細胞が弱まるとどうなる?
NK細胞の働きが低下すると、風邪をひきやすくなったり、がん細胞の増殖を許してしまったりするリスクが高まります。 実際、がん患者ではNK活性の低下がみられることが多く、予防医療の観点でも注目されています。 また、ストレスや加齢、生活習慣の乱れがNK細胞の活性を下げることが知られています。 反対に、日々の生活を整えることでその力を高めることも可能です。

NK細胞を活性化するには?
NK細胞の力を高めるために、以下のような方法が有効とされています。
- バランスのとれた食生活
特に注目されているのが、「発酵食品やキノコ類」。ヨーグルトや納豆に含まれる乳酸菌、シイタケやマイタケに含まれるβ-グルカンは、NK細胞の活性を高める効果が報告されています。 - 適度な運動
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、NK細胞を活性化することが知られています。ただし、過度な運動は逆効果なので要注意です。 - 質の良い睡眠
夜間の睡眠中に免疫機能は回復・強化されます。睡眠不足や夜更かしはNK細胞の働きを鈍らせてしまうため、毎日規則正しい睡眠を心がけましょう。 - 笑いやリラックス
意外かもしれませんが、笑うことでNK活性が上がるという研究結果もあります。ストレスの多い現代こそ、「笑い」や「癒し」の時間を大切にしましょう。

予防医療のカギは「自分の免疫力」
感染症やがんに対して“何か特別なことをしないと…”と思いがちですが、実は体に本来備わっている免疫力を高めることが最も基本的で有効な予防策です。 NK細胞は、その免疫の司令塔のような存在です。 「風邪をひきやすくなった」「なんとなくだるい」「治りが遅い」──そう感じたときは、NK細胞が弱っているサインかもしれません。 日々の食事・運動・睡眠・笑いを通じて、あなたの体の中にいる“小さな守護者”を応援してあげましょう。
参考文献
- ヤクルト中央研究所:「NK細胞」https://institute.yakult.co.jp/dictionary/word_7.php
- 小林病院コラム:「ナチュラルキラー細胞とは」https://kobayashibyoin.com/nk-cells/
- 養命酒製造:「免疫の主役NK細胞」https://www.yomeishu.co.jp/health/3976/
- がんメディカル:「がんとNK細胞療法」https://gan-mag.com/immunooncology/2885.html