院長ブログ 片言自在

34. 孤高のメス

これは、wowowドラマのタイトルである。主人公は、肝臓移植で有名なスターツル教授がおられる、ピッツバーグ大学で肝臓移植を習得した、優秀な外科医である。スターツル教授から、スタッフになるよう言われたが、断って琵琶湖湖畔の小さな総合病院に勤務、という設定である。もう一人の外科医は、これも肝臓移植で有名な、英国ケンブリッジ大学のロイカーン教授のところでスタッフをやっていたが帰国、琵琶湖近くの大学病院に准教授として迎えられた人物である。

スターツル先生、ロイカーン先生、ともに私はよく知っている。というのも、私は、ピッツバーグ大学のスターツル先生のところに2年ほど留学していたからである。私が留学した当時、ピッツバーグ大学では年間700例ほどの肝臓移植が行われていた。ロイカーン先生が発見したシクロスポリンという免疫抑制剤が一般的に普及し、良い成績が出だした頃である。

そして、次世代の免疫抑制剤としてプログラフの臨床試験が、ピッツバーグ大学を中心に始まっていた。そのほかにも、さまざまな臨床試験が行われていた。例えば、小腸移植、肝臓小腸同時移植、多臓器移植、などなど次々に行われていた、

実はピッツバーグ大学は、肝臓移植以外にも、遺伝子治療でも有名であり、がん免疫遺伝子治療が行われていた。

ロイカーン先生は、スターツル先生と一緒に肝臓移植をやっていた岩月舜三郎教授(大学の先輩でもある)のところで、時々お会いし、面識があった。ただし私がお会いするのは、テニスのお相手をするためである。

このドラマの主人公は誰がモデルかわからないが、ピッツバーグ大学で肝臓移植をきわめて、日本に帰国されたとなると、藤堂省先生しかいないであろう。というのは、先生は、向こうでゴッドハンドと言われていたからである。私は、向こうにいる時、よく先生の家で、ご飯をご馳走になったものである。先生の奥様は、本当に料理がお上手であったのである。

このような個人的な背景があるので、ドラマとはいえ、懐かしい気分になった。

しかしスターツル教授、岩月教授はすでにお亡くなりになっている。私と関係があった方々が、なくなっていくのは、私の貴重な思い出が消えていくようで、どうにも寂しいものであるが、このドラマによって、昔のことを思い出すきっかけになったことは、非常に嬉しく思った次第である。

クリニック チクサヒルズ 院長
林 衆治

ページの先頭へ
ページの先頭へ