院長ブログ 片言自在

27. わたしのDNAはチェンジする

私は、人工生命体にひどく関心がある。

一時期ベイダー博士が作り出した、あの人工生命体だ。

なにかとなにかを混ぜで、チンすると人工生命体ができる、このような漫画のような出来事が現実に可能になったのである。

私は、なぜこのようなものに興味があるかというと、私は、ずっと外科領域における遺伝子治療、というものを研究しているからである。遺伝子治療では、遺伝子を体の中に運ぶ、運び屋(ベクター)が必要であるが、このベクターに、よく使われるのが、ウイルスの殻なのである。そのためには、人工的に遺伝子操作したウイルスを用いて、ウイルスの殻の遺伝子だけにして、運び屋として使うのである。

私にとっては、ある意味ウイルスの人工生命体との出会いであったのである。

このようなことを長年研究してきたので、人工生命体なるものに興味があるというわけである。

さて、私のような素人でも考えるのは、アミノ酸やタンパク質の切れ端、を混ぜて、チンしてやると、ウイルスのようなものができるのではないか、というアイデアであるが、実際、ペプチドというタンパク質の切れ端をまぜて、ウイルスの殻を作った研究者がいるのである。したがって、私でも、もしかすると、そのようなことができるかもしれない。

となると、今度は遺伝子の切れ端も混ぜてーーーとなるが、これはCas9でいとも簡単にできるようである。

簡単に遺伝子を変えることができる、となると、これまでヒトのDNAは不変である、と信じられていた神話はどうなってしまうのか?

私は一つの仮説を立てている。ヒトの遺伝子は、成長とともに変化するのではないか、と。

つまり、ヒトの全ゲノムを解読したとしても、それはその瞬間の情報であり、次の瞬間には変化しているのではないか、ということだ。

なぜこのようなことを考えるのかというと、近い将来、人が自分の遺伝情報を自分で管理し、制御し、利用する時代が来るからである。AIとウェアラブルデバイスがますます発達するであろうから、病気の予測、予防、診断、治療、あらゆるコンポーネントは、急激に変化すると考えている。その時に、自分のゲノムだけは、不変である、などという教科書的真実にとらわれると、何か大きな間違いを犯すような気がしてならないのである。

したがって、私は、自分のDNAはチェンジするかも、と考えることにしている。

クリニック チクサヒルズ 院長
林 衆治

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